帝国の名を冠する企業は、帝国ホテル、帝国劇場、帝国データバンク、帝国書院、等々ありますが、
こちらは帝国湯。
創業は1916(大正5)年9月。現在の建物は昭和27(19523)年に建て替え。
昭和レトロの銭湯文化が保存されています。
温泉ではありませんが、毎年水質検査を行って安全確認をされているおいしい硬水の井戸水です。
<煙突/コインランドリー>
薪を使っている煙突らしい煙突です。薪と都市ガスを併用しています。
コインランドリーは、目立たない場所、黄色のひさしのところにあります。
銭湯の前にある酒屋もレトロです。
<屋根の「水」>
地下108メートルから汲み上げた井戸水を浴槽、カランなどすべてで使用していますが、
ここの井戸水は、地域の消火栓の役割も担っています。
屋根の上には赤い漢字の「水」の文字が掲げられています。珍しいものを見ました。
<入口/下足箱>
「手以古久」と書かれた暖簾です。
さくら錠の下足箱。
傘入れの上には三峯神社のお札。開いている窓から入浴者心得がチラッと見えます。
<脱衣場>
「格子天井」「昭和チックな天井の窓」「入浴者心得(昭和27年6月)」「体重計」
「振り子時計」(止まっている)「祝い額」「将棋セット・囲碁セット」
<縁側/庭>
浴場の横に縁側と庭があります。突き当たりにトイレがあり昔ながらの銭湯です。
燈籠が2基あり雰囲気良いです。
池にはコイが泳いでいます。
温泉を使用している池に泳いでいるコイは色鮮やかで大きく、金魚は大きく驚きますが、
ここのコイも、美味しい井戸水で泳いでいるせいか、色鮮やかで大きいです。
<浴場>
庭に面した木枠の窓ガラスに歴史を感じます。
深めの浴槽、浅めの超音波風呂(湯底でつながっている)、千葉「実母散」薬湯の3連浴槽があります。
浴槽の蛇口の周りは、白い析出物がこびりついています。
風呂の周りのタイル絵には鯉が泳いでいます。
ペンキ絵(西伊豆)は、すでに他界された早川利光さんによるもの。
富士山の横に男湯は水上セスナ機、女湯はニンジンに乗ったウサギが飛んでいるところが、
子どものために描かれています。
洗い場の上には、モザイクタイル絵(湖とヨット)もあります。
カランの水は無色透明、味見すると、無味無臭です。
桶はケロリンです。
<水質検査証>(令和2年7月15日)
地下水を薪と都市ガスで沸かしており、湯口には白い析出物が付着しています。
無色透明・無味無臭。あふれ出し部分のタイルは茶色に色付いています。
掲示されている水質検査証(令和2(2020)年7月15日発行)によると、
pH:7.9 カルシウム・マグネシウム等の含有量140mg(硬水です) 塩化物イオン28.6mg
鉄及びその化合物0.031mg 有機物等0.4mg
東京の温泉銭湯は、有機物(腐食質)の多い黒湯と規定泉が主体ですが、ここは有機物等0.4mg。
軟水の地下水を使用している銭湯は目にしますが、硬水の地下水はここが初めてでした。
<NHKで2017年に放映>
NHKで放映されていますが、民放でも何度か放映されているようです。
番台に座っておられたのは5代目女将さん。
<5代目女将さん>
中は撮影禁止ですが、水質検査証とか撮ってもいいか尋ねたら、どうぞに続いて、延々と話が続きます。
「みなさん、ペットボトル持ってくるのに、もってこなかったの?次は持ってきなさいよ。」
「ハイ、そうします。」
「浴室の洗い場も全部井戸水だけど、飲み水専用の蛇口があるからね」と説明を受けます。
修繕の工事の方々は、ここの井戸水に粉末茶を入れて水分補給するそうです。
(頻繁に工事をしているようで、昭和レトロを維持するのも大変そうです。)
ここの井戸水でご飯を炊いている人もおられるそうです。
みなさん飲むから、心配だから安全のため毎年水質検査を行っているとのことで、
今年の分析は終わったばかりとのご説明です。
(真新しい令和2年7月15日発行の水質検査証です。)
水質検査証をよく見ると、採水箇所が「台所」と記載されているのは笑いました。
ご自宅も井戸水を使用されているわけですね。
帰りに飴どうぞといただきました。
次回はペットボトル持参でお伺いします。