下部温泉/湯沢温泉
下部温泉郷の看板(新泉橋手前)と、神泉橋
<双体道祖神>
<魚霊之碑> 昔からの温泉場では生物供養塔をよく見かけるところですが、新しい碑ですが下部温泉にもありました。
<共同泉について>
下部温泉厚生組合が所有する「共同泉」は、
1948(昭和23)年にホテル守田、橋本屋、梅乃屋、登富屋、大黒屋など神泉橋付近の9軒の旅館によって、
大家旅館(2010/6/30閉館)の裏手に井孔が掘削されました(湧出地:身延町下部69番地)。
源泉館とは眼と鼻の先で、深度230mの掘削自噴泉です。
「共同泉」 掘削自噴泉 温度32.5℃ 溶存物質503.5mg
「神 泉」 自然湧出泉 温度29.6℃ 溶存物質442mg
その性状はほとんど同じです。
(日本源泉湯宿を守る会の記載を参照しましたが、参照した記載内容は消滅しています。)
<しもべ奥の湯 高温源泉>
新源泉の割り当ては1軒当たり毎分7リットルとの報道があります。
どの宿でも、湯口からチョロチョロ投入なのは、このためでしょう。
露天風呂を増やし、高温源泉を10カ所の湯舟に使っているホテルもあります。
黄金の足湯では、新源泉を掛け流しで使用しています。
<「温泉ではなかった」→「温泉になった」>
2004年に一部の源泉で温泉の不当表示問題がありました。
分析したら、温泉法に規定する温泉に該当しなかったというものです。
【梅ぞ乃 多喜本 涌仙閣 いずみ おおしま荘 大村屋 鉱泉堂 さのや 昭寿館 せせらぎ荘 夢乃庄】
町と旅館の経営者ら27人が共有する「横道源泉」(1972年掘削、深度800m)が
「ただの地下水」騒動となり、旅館11軒は使用をやめました。
なお、マンションの管理組合だけが大浴場用に使用を続けました。
その後、源泉井戸の改修をしたところ、泉温が上がって「泉温26.5℃、アルカリ性単純温泉」になりました。
今度は、井戸水と違って、温泉を汲み上げるには「動力装置の許可」が必要で、
山梨県は電動ポンプ使用の禁止を指導したとのこと。
<再び「温泉ではなかった」>
2009年2月には、町が旅館など6軒に分湯する源泉が「温泉」ではなくなりました。
この源泉は、ホテルなど民間2社と町が共有し、3者で分けたうえで、町が旅館など6軒に分湯してきたものです。
1955(昭和30)年の分析書によると、温度は21.3℃ですが、メタホウ酸が11.92mgで、温泉の基準を満たしていました。
2008年2月と8月に町が分析したところ、メタホウ酸はそれぞれ2.9mg、1.2mgで温泉の基準を満たさなくなりました。
このため町は分湯条例を廃止、分湯を停止しました。
山梨県によると、源泉を共同所有するホテルは、利用廃止の届けが出ており、
町の分湯を受けていた6軒にも廃止届けを出すよう指導したとのこと。
以上の経緯があり、下部ホテル源泉は利用廃止になっています。
なお、下部ホテルは他に「下部ホテル硫黄泉」(単純硫黄泉)を持っています。
分湯を受けていた施設は、新源泉の高温源泉の使用だけになっています。
栃木では、馬頭の神生館(閉館)が温泉に該当しませんが、ぬるすべで良い湯。
鬼怒川の志季大瀞も温泉に該当しませんが、温泉と言われれば納得する湯です。
福島の魚屋の湯も温泉に該当しませんが、水道水のレベルではありません。
茨城の金砂の湯では、再分析で温泉に該当しなくなっても、客は多いです。
<自家源泉>
下部温泉で自家源泉を所有するのは、湯元ホテル(3本)、源泉館(2本)、裕貴屋(1本)、下部ホテル(1本)。
これに共同泉と高温源泉を加えると、9本(すべて下部川左岸に所在)となります。
山梨県が公表している下部の源泉利用数9本と一致します。
<下部温泉特有の入浴法>
泉温の低さを有効に生かした下部温泉特有のあつ湯とぬる湯の入浴法をとっています。
ぬる湯には飲泉コップが置いてあることが多く、飲泉も特有です。
共同泉は、飲むと胃腸に良いとのこと。
また、共同泉は、目に良いとのことで、湯口の湯をすくって目を洗うことを勧められました。
高温源泉のほうは、飲むと糖尿病に良いとのこと(飲泉許可は出ていないようです)。
<駐車場>
温泉街の中心部は、旅館の駐車場以外は駐車できるところがありません。
温泉街から上流へ向かいせせらぎ荘の脇を進んだところに、
下部観光協会の広大な駐車場があります。
<山梨の温泉に関するデータ>
山梨県ホームページの「山梨の温泉に関するデータ」が大いに参考となります。
毎年更新もされているので、最新のデータです。
<湯町 ほたる公園>
下部温泉から下部川上流へ上っていくと、高湯源泉湧出地がある「ほたる公園」があります。
<「しもべ奥の湯高温源泉の温泉相特性」説明板> 身延町下部字見ノ木202(湧出地) 2007/6/27設置
源泉湧出地(身延町下部字見ノ木202番)に、
「しもべ奥の湯高温源泉の温泉相特性」の説明板が説明板が設置(2007(平成19)年6月27日)されています。
板というよりビニールシートを紐でフェンスに括り付けています。
身延町のサイトに詳細が記されています。
<仮設足湯> ※撤去されたかな。
仮設足湯(しもべ奥の湯高温源泉)が2006年6月に設置されています。
湯町ほたる公園の駐車場、源泉湧出地から数m離れたところに足湯があります。
しおべ黄金の足湯ができているので、「仮設足湯」掲示のこちらは、
お湯が張られているか不明でしたが、硫黄臭が漂い、お湯は張られていました。
源泉の実力に触れることができました。
「飲用しないでください!」との掲示があります。
温泉分析書別表の飲用上の注意事項は、塗りつぶされています。
飲用許可はとっていないようです。
誰も来ない中、足湯をしていると、森林パトロールの車が来て、
「森林パトロールです、ティッシュです」とPRのポケットティッシュを頂きました。
十分な温かさでしたが、今日はちょっとぬるめのようですとのことでした。
湯之奥金山博物館の駐車場に、「しもべ黄金の足湯」が2011年2月2日にオープンしています。
源泉名「しもべ奥の湯 高湯源泉」かけ流し
砂金採りをイメージした湯舟とのことで、趣のある湯口です。
湧出地から距離はありますが、硫黄臭するし良い湯です。
<別館神泉>
2015年10月7日に、日帰入浴は中止となっています。
いいふろの日(11月26日)は、日帰入浴可です。
日帰入浴可だった時に、2回訪問した時の記録です。
<武田信虎/信玄の免許状>
自噴かけ流し「武田信玄公かくし湯大岩風呂」のある別館神泉の玄関に入ると、
武田信玄の父・信虎の時代から武田家の公認湯だったため、
「信虎公より賜りし土地・浴場免許状」
「信玄公より賜りし土地・浴場免許状」の複製が飾られています。
<御幣/神棚/神泉>
脱衣所入口に御幣。脱衣所入口ドアに御幣。浴室入り口に御幣。
岩風呂の上には神棚があります。壁には「神泉」と刻まれた額。
幾多の自然の猛威を乗り越え、大岩風呂を守り続けてきた湯守の年輪を感じます。
<大武田信玄公かくし湯大岩風呂>
源泉名「源泉館 神泉」 岩盤足下自然湧出 掛け流し
信玄公は、自分が温泉に入って湯治するだけではなく、
家臣に思いを至らせ、家臣が温泉に入って傷を癒せるように積極的に湯治場を整備したと聞きます。
だから信玄公専用ではないので、大岩風呂なんだろうなぁと思います(想像)。
大岩風呂は、岩盤から源泉が湧いていて、岩盤の上に板が乗せられています。
神棚の下は板がなく、岩盤に直接触れることができるスゥイートスポットです。
板の上より、こころなしか温かい気がします。
みなさん、板の上ではなく、この場所に集中します。
<上がり湯>
源泉名「第2源泉」 第2別館の地下より湧出 加温、加水
<若山牧水歌碑>
別館神泉の入り口左手に、若山牧水の歌碑があります。
明治43(1910)年6月、牧水は「源泉館」に泊まっています。
「山越えて入りし古驛の霧のおくに電燈の見ゆ人の聲きこゆ 若山牧水
明治四十三年六月(一九一〇) 二十六才
下部温泉源泉館に宿泊 その日詠める」
<本館/第2別館>
源泉館は、「本館」「別館神泉館」「第2別館」と、2つの建物があります。
本館の玄関脇には、天然鉱泉水「信玄」が積まれていました。
源泉館の通販で購入できます。
<源泉館 温泉スタンド> 身延町下部77 単純温泉
山梨県が温泉スタンドの許可を出していますが、
株式会社源泉館下部工場には、温泉スタンドも掲示もみかけることはできません。
一般には利用できない温泉スタンドで、源泉を詰めていると理解しておきます。
階段を降り、浴室へ向かいます。
浴室は下部川に面していて、台風が来る度に破壊されるであろうロケーションに驚きます。
「岩風呂」「ひのき風呂」があり、男女日替わり。岩風呂に入浴。
岩風呂は川沿いなので、内湯ですが露天風呂の雰囲気があります。
共同泉と高温源泉の2源泉を使用しています。
昔の昭和30年の分析書もあり、宿の年輪を感じます。
影響を与える事項「加温、循環ろ過」掲示。高温源泉の湯舟でしょう。
高温槽から低温槽へフローしていくので、低温槽は冷たいですがさほどの冷たさではありません。
低温泉を高温源泉で加温していることになります。工夫しているなと思います。
低温槽の湯口には飲泉コップがあります。鉱泉水をいただきました。
高湯源泉のオーバーフローはありますが、かけ流しと思います。
<かもしか>
下部川の対岸の土手を、かもしかが歩いていました。
途中で立ち止まり、食事をはじめました。
2013年8月3日、元湯梅乃屋から出火し、隣接する昭寿館と廃業した登富屋の3棟が全焼しました。
<元湯 梅乃屋>焼失前
混浴内湯でした。
<登富屋>焼失前
下部温泉から外れた常葉川のほとりにある不二ホテルへ。
長生館のB級度に比べると、はるかにキレイで新しいです。
そんな中でも、庭には小さな祠があり、歴史を感じます。
源泉名「表下部温泉」(掘削自噴)。
影響を与える事項「加温、循環ろ過」掲示ですが、内湯のあたため湯を示しているのでしょう。
混浴露天風呂は、掛け流し。
露天風呂は源泉の投入量多く、硫黄臭ぷんぷんです。
内湯と湯の状態は全然違います。白い湯花が多数舞っていました。
露天は源泉そのままで冷たいです。
入ってしまえばガマンするような冷たさでもなく、
露天を出てもなんか暖まったような不思議さでした。
長湯されている方もおられました。
<不二ホテル(温泉スタンド) 身延町上之平1525 アルカリ性単純温泉
山梨県が温泉スタンドの許可を出していて、存在していれば気づくのですが、見つけられませんでした。
下部温泉手前にある湯沢温泉。
長生館の駐車場から見えるのは「不二ホテル」だけです。
入浴セットを持って歩いている方々、どちらへ行くのかなぁ?みなさん不二ホテルへ。
不二ホテルの玄関前を横切り、狭い路地を進み、突き当たりを左に曲がると鄙びた長生館があります。
長生館の横には、電流鉄線がはりめぐされていました。熊が来るの? かもしか対策かなぁ。
養蜂園や小さな牧場で電流鉄線は見たことありますが、旅館で見たのは、初めてでした。
浴室は混浴の内湯のみ。鄙びています。
タイル絵は、描かれていたであろう絵がほとんど消えて、白いタイルにしか見えません。
自家源泉「湯沢温泉 長生館」。「加温しています。循環ろ過装置を使用しています」
冷泉常時投入、湯花を蛇口でこしとっていますが、浴槽内は湯花が乱舞しています。
成分総計:0.312mgのメタホウ酸で温泉に該当の規定泉(古い分析書では単純硫黄泉)ですが、
不思議なもんで、硫黄臭がします。家に帰ってもタオルから硫黄臭がしました。