○ 猿ヶ京温泉
○ 赤谷水管橋
○ 笹の湯/若山牧水と与謝野晶子
○ 猿ヶ京関所跡
○ 猿ヶ京温泉の手湯
○ みなかみ町新治公衆浴場 いこいの湯
○ 猿ヶ京住民センター猿ヶ京区湯の町共同浴場
○ 温泉農家民宿はしば
○ 料理旅館 樋口
猿ヶ京温泉は、1956(昭和31)年に相俣ダムの完成で現在地に移りました。
それまでは赤谷川沿いに湯島の湯、生井林の湯(笹の湯)があり、今は湖底に沈んでいます。
湯島の湯は元禄年間(17世紀末)に発見されたと伝えられています。
猿ヶ京温泉には7本の源泉があります。
・村有2号泉 平成8年より測定不能 未利用
・湖城閣源泉 63.6℃ 195.0L 動力揚湯 旅館1
・共有泉湯島 57.2℃ 660.0L 動力揚湯 旅館2・給湯事業
・町有1号泉 61.5℃ 313.0L 動力揚湯 給湯事業74件・共同浴場
・三島源泉 昭和60年より測定不能 未利用
・猿ヶ京源泉1号井戸 56.4℃ 420.0L 動力揚湯 町有1号泉と同じ
・猿ヶ京源泉2号井戸 49.4℃ 204.0L 動力揚湯 町有1号泉と同じ
(以上、みなかみ町国民保養温泉地計画書を参照しました。)
<猿ヶ京温泉の現在まで>
湯島河原の温泉は、地の利の良い笹の湯に比べて地の利が悪く、江戸時代は村人のみに利用されていました。
猿ヶ京村は小学校増築の資金調達のため、県道生井坂の工事を請け負いましたが、かえって赤字となり、
湯島河原の温泉は民間に売却して借金を支払いました(1915(大正15)年)。
その後、猿ヶ京温泉は、湯島河原の「桑原館」(1946年、持谷氏が桑原氏から買収して猿ヶ京ホテルと改称)、
「長生館」、「見晴館」(1995年倒産、現在は日帰り温泉施設「まんてん星の湯」)の三軒からなる湯島温泉、
生井林の相生館(移転後1997年廃業)1軒からなる笹の湯温泉の四軒二つの温泉からなっていました。
四軒は自家源泉を持っていました。
昭和30年に相俣ダム・赤谷湖が完成し、四軒の旅館は赤谷湖に沈むことになりました。
群馬県と四軒は温泉源の補償協定を結び、源泉の代替として湯島に源泉を掘削し、
四軒それぞれが4分の一づつの所有権を持つことになりました。
この源泉は「共有泉湯島」と命名され、四軒は「湯元泉協同組合」を設立し、管理運営に当ってきました。
4軒共同の新たな温泉(1955年)は、村の人々には無料で入れるようにしていました。
元は村の所有だったことと、湯導管が民間の土地を通ることから借地料の代わりでした。
この源泉を使用した共同湯がありますが、そのような経緯から存在しているのだろうと勝手に思います。
(猿ヶ京ホテルのHP記載内容を縮め、文献「新治村の観光発展過程と観光地形成」(溝尾良隆)を参照し、
適宜まとめました。)
<歌碑の道>
歌碑の道の看板の指示に従って行くも、
「みなかみ紀行」の一節を刻んだ若山牧水の紀行文碑があるようですが、荒れていてわからず。
<新治村温泉給湯管>
赤谷水管橋を温泉給湯管が渡っています。
<猿ヶ京バンジー> みなかみ町相俣1731
62メートルの高さがある赤谷水管橋からのバンジージャンプです。
赤谷水管橋を渡ったバンジー受付所で引き返す。
<赤谷湖と相生橋>
赤谷水管橋から、赤谷湖と相生橋を見下ろす。
笹の湯相生館はダムに沈みましたが、橋名に相生が残ります。
若山牧水が笹の湯で食事に立ち寄っています。
与謝野晶子が昭和14(1939)年11月4、5日笹の湯相生館(宿名が見あたらないけどたぶん)に2泊して、
法師温泉を廻っています。
「晶子鑑賞:(平野萬理)によると、昭和13年秋に笹の湯から法師温泉を廻るとありますが、
平野萬理の勘違いでしょう。
晶子書簡で確認すると笹の湯温泉へ観楓にまいるお誘いの手紙を昭和14年10月に複数出しています。
笹の湯の紅葉は八分ほど、法師は奥に行くに従い、火のような山がつづいていたと書簡に書いています。
笹の湯では「またたびの塩づけ」を食べて、昔の感慨にふけっています。名物なの?
堀口大学も「またたびの塩づけ」が好物だったようです。
『白桜集』奥上州
与謝野寛と共に歩んだ思い出の挽歌が多いです。
笹の湯(ダムに沈んだ猿ヶ京温泉)と法師で30句掲載されており、以下は一部抜粋です。
(笹の湯)2泊
「身をめぐり泡雪のごと湯の絮の深山の秋の温泉」
「みやびかに笹の舊湯が紅葉著て住へる溪に靡く霧かな」
「川面へ二百六十尺と云ふ相生橋にたぢろぐ落葉」
「寂しくも越路に近き笹の湯の笹鳴るほどの夜の時雨聞く」
「猿が京新治村の笹の湯にありて悲しむ秋のともし灯」
「笹の湯を渓に見出でて胸鳴りぬはかなきことにときめけるかな」
「笹の湯の竹のむしろを朝踏みて溜る涙と思ひけるかな」
<三国路与謝野晶子紀行文学館椿山房> みなかみ町猿ヶ京1175
猿ヶ京ホテルの女将さんがオープンした文学館です。
<長生館>
長生館の露天風呂の日帰り入浴も選択肢に入れていましたが、今回はパス。
赤谷川へのオーバーフローの捨湯がスゴイかったです。
猿ヶ京は三国街道の関所がおかれた宿場町です。
<やる気稲荷>
巨大な庚申塔が国道17号線沿にあります。
猿ヶ京温泉に手湯が3つあり、それぞれ民話の説明板が掲げらています。
設置されたのは2010年で、湯受けの縁は温泉らしく鉄分で色づいています。
<いたちの湯> みなかみ町猿ヶ京温泉1142-4
さかえや洋品店の前に「いたちの湯」(手湯)。
隣の仁田屋は町有1号泉の掛け流し(日帰り600円)。
<河童の湯> みなかみ町猿ヶ京温泉「まんてん星の湯」駐車場
まんてん星の湯第1駐車場の入口脇に「河童の湯」(手湯)。
河童の湯の横に歌碑があります。
「山の温泉にかよう峡路は夏ながら秋草咲けりその路の辺に」
説明板には、旧新治村出身の歌人・阿部鳩雨とあります。
<きつねの湯> みなかみ町猿ヶ京温泉253猿ヶ京温泉多目的集会所
多目的集会所の脇に、「きつねの湯」(手湯)。
3か所の中でも熱く、手を入れらず、缶コーヒーを入れて温めました。
しっかり掃除をされている様子で、ブラシとスチールウールが置いてありました。
スチールウールでゴシゴシやっているためでしょう、他の手湯と見た目が異なります。
多目的集会所の入浴は17:00-21:30。遅くからの開湯なので未湯です。
旧新治村にある公衆浴場のうちの一つ。
正式名称は「みなかみ町新治公衆浴場 いこいの湯」ですが、看板は「猿ヶ京公衆浴場
いこいの湯」
源泉名「町有1号」(湧出地:猿ヶ京温泉1403-5)かけ流し。
とにかく熱い。
「猿ヶ京住民センター」の木の看板がかかっています。地域住民の方々の公衆浴場があります。
正面玄関脇には「関係者以外立ち入り禁止」の掲示があります。
玄関を開けると「会員以外の方も入浴いただけます 大人300円 小学生以下100円」の案内と、
料金箱が設けられています。300円投入して、手指を消毒します。
<湯の町共同浴場補修工事>
平成9年9月の補修工事の寄付者が掲示されています。
共同浴場の名称は、湯の町共同浴場となっています。
<温泉許可証/レジオネラ属菌検査結果>
玄関にあった温泉許可証(平成17年)とレジオネラ菌検査結果(平成20年)を見ると、
所在地の住所の地番が異なっています。
共同浴場名は、「猿ヶ京住民センター共同浴場」と「湯の町共同浴場」と記載されていました。
温泉許可証の許可先の猿ヶ京区長の住所を見ると「農家民宿はしば」です(こちらも寄りました)。
(住所がネットで見る限り記載されていないので、住所が記載されている書類は省略しました)
<脱衣所>
脱衣所に入ります。左手女湯、右手男湯。
<分析書>(平成14年11月8日分析)
源泉名「共有泉湯島」
湧出地「新治村大字相俣字手道甲1911」
猿ヶ京ホテル、長生館、まんてん星の湯(&湯島オートキャンプ場露天風呂)で使用されている源泉。
平成14年より新しい分析書が出回っているので、分析書記載内容は省略します。
<温泉利用状況>
加温なし、加水なし、循環ろ過なし、塩素なし。パーフェクトです。
<浴室>
浴室は天井が高く木材で組まれた湯気抜きです。
タイルの浴槽も味があります。
熱いのに慣れたのか、加水せずに入っても心地よかった。
<貯湯タンク>
目の前にある貯湯タンクが源泉地かと思われがちですが、湧出地の住所を見ると違います。
給湯事業と旅館への分湯タンクといったところでしょうか。
国道17号線に面した猿ヶ京交差点の角が土産屋、その奥が民宿です。
土産屋には、足湯がありますが湯は張られていませんでした。
温泉は準備中の看板ですが、聞いてみると「大丈夫ですよ。」
550円を支払いポイントカード(スタンプ5つで1回入浴無料)を受け取ります。
次回半額のサービスは終了しています。
<民宿入口>
初めて見る「純温泉協会」のステッカー。
後から調べたら2019年5月に山口貴史氏が設立したのが「純温泉協会」https://realonsen.com/です。
玄関先に昭和37年の分析書が置かれています。
古いなぁと思うも、脱衣所内には令和2年7月の真新しい分析書が掲示してありました。
玄関入ってすぐ真前が男湯、廊下を進んだ奥が女湯です。
<脱衣所>
なぜか洗面所に落葉が落ちています。
<分析書>(令和2年7月20日発行)
真新しい分析書です。2源泉の貯湯槽オーバーフロー管より採水の分析です。
源泉名「猿ヶ京源泉1号井戸・同2号井戸混合泉」
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
泉温53.7℃ pH7.8 カルシウムイオン222.6mg 硫酸イオン471.9mg 成分総計1.33g
湧出地1号井戸 みなかみ町相俣2644-1
2号井戸 みなかみ町猿ヶ京温泉字宮野1211-2
申請者:有限会社赤岩湖遊船
(純温泉協会サイトより 湧出量620L(分湯量27L) 引湯距離約1000m 宿に貯湯槽なし)
※1号井戸の湧出地は赤岩湖遊船の会社所在地、2号井戸はその近くです。
<温泉利用状況>
加水なし、加温なし、循環ろ過なし、消毒なし。パーフェクトです。
<浴室>
内湯のみ、広い窓から陽光がはいってきて浴室内はとても明るいです。
湯口は白い析出の結晶物でコテコテに覆われています。
完全掛け流しで、ホースで加水もできますが適温で必要ありませんでした。
終始貸し切り状態で、のんびりしました。
温泉博士利用で入浴、平成25年の入浴時の記録です。
料理旅館樋口は、5部屋の小さな宿です。
玄関の横にある石柱に文字が刻まれているのでよくみると、道標ではありませんか、驚きました。
この旅館は、以前何を営んでいたのか素性が気になりました。
小さな宿に小さな湯船です。浴室窓からは、赤谷湖を見下ろせます。
源泉名「町有1号」
循環併用のかけ流し。洗い場方面へオーバーフローしていきます。
温まり過ぎて汗が止まらなかったです。