Discover 栃木 温泉文化遺産(温泉文化史)
 
 湯西川温泉 平の高房


○平の高房

 自遊人パスポートに2004年に参画したことがありますが、
 また掲載されるかなと思っているうちにパスポート終了、未湯でした。
 
【元材木商】

 元は農業と材木商で、
 1973(昭和48)年に食事処、翌1974(昭和49)年に宿を開業。
 1991(平成 3)年 温泉使用開始(1100m掘削)。
 1998(平成10)年 現在の建物にリニューアル。
 2002(平成14)年 「日本秘湯を守る会」の会員。
 開業前は、材木商を営んでいただけあって、古木がふんだんに使用されています。
 材木商で浮かぶのは、同じく旧栗山村のこまゆみの里も、元材木商でしたね。
 他県では、秋田の新屋温泉が現役の材木商でした。

     

     

【源泉湧出地】

 砦の門から入ると、駐車場右手の奥の一画が源泉湧出地で、
 小さ目、10立方メートルの貯湯タンクがあります。

   

【玄関】

 靴べらが木製でいい味を出しています。

 玄関脇には大きな家紋があります。
 平家落人が出自を隠すために使用したと伝わる「丸に片喰(かたばみ)紋」です。

   

大畑耕雲】

 正面に、与一扇眼の大きな絵があります。
 この絵は、平の高房館の新館落成を祝って、3代目大畑耕雲が筆を執ったもの。
 「青葉の笛の平敦盛」と「那須与一 源平屋島の合戦・扇の的」を組合わせて描かれています。
 与一の愛馬「鵜黒の駒」も、扇の要をしっかりと見ている構図がすばらしい。
 扇をかざす「玉虫の前」の後ろには、「十郎兵衛家員」の姿も描かれています。

     

    

 ※素晴らしい絵にあら探しはしたくないところですが、細かいところで気になるのは、
  ・「那須拾遺記」によると、扇の日輪は紅地に金ですが、日輪が金色ではなく赤いこと。
  ・落人が出自を隠すために使用したと伝わる「丸に片喰紋」が小舟の屋形に描かれていること。
  ・与一の矢の先は、殺意のない鏑矢が描かれていたらもっと良かったのにな。

【フロントロビー】

 フロントとロビーは、階段を上がって2階にあります。
 階段の途中に、昔の調度品や農耕用具等が展示されています。

   

 階段上がって右手のフロントで受付。フロントは大谷石です。
 日帰り入浴は12:00-15:00、1000円(タオル付)で、
 本館「内湯 琵琶の音色」「露天風呂 朧月夜」か、
 大露天風呂「藤の花房」のどちらかを選んでの入浴となります。
 本館のほうを利用しました。

 ロビーは天井が高く、だだっ広いです。
 2階ですが、宿は山の斜面に建っているので、窓の外は庭です。
 土産物売場の横にある喫煙所も古風です。
 
     

     

【館内の御案内】

  

【廊下】

 長い廊下の突き当りに男女浴室。
 廊下左手には、設計に携わった匠が描いたパース(完成予想図)が展示されています。
 浴室の図を見ると、細かいところまで描かれています。
 廊下から屋根裏を見ると、大きなスズメバチの巣が2つ。

    

    

【浴室前】

 2階ですが、宿は斜面に建っているので、窓の外は庭です。
 ウオーターサーバーが直接目に触れぬよう、木材で囲われています。
 細かいところに芸が施されています。

     

【脱衣所】

 セーフティーボックスが脱衣棚にあるのが便利です。
 露天風呂には屋根がないので、雨笠が置いてあります。
 (入口と通路には屋根があるのですが、露天風呂の上だけは屋根がありません。)
 「お風呂に浮いているのは、湯の花です。」掲示があります。

     

    

【分析書】

 「源泉100%認定浴槽 日本源泉湯宿を守る会」の掲示があります。

 源泉名「平の高房源泉」単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)

 分析書は古いのと(平成3年、平成13年)、新し目(平成23年)と2つ掲示がありました。

 古いほうの掲示だと影響を与える事項は(平成5年)
 加水の上には貼り紙があり、大浴場(琵琶の音色)は冬期間加温、
 大浴場(琵琶の音色)は循環利用、大浴場(琵琶の音色)は消毒処理。

 新しいほうの平成23年掲示では影響を与える事項の掲示はなし。

 源泉湯宿を守る会の調査表(平成16年)では、すべての浴槽で、
 加水なし、加温なし、循環ろ過なし、塩素なしのかけ流し。

     

【内湯 琵琶の音色】

 脱衣所からから階段を下りて浴室へ。
 採光の良い浴室です。
 木のイスが、高いのと低いのがあり、高いほうを使用したらちょっと使いづらかったです。

 浴槽側面の多くの穴ぼこがふさがれています。
 ふさがれてない、吸い込み口1カ所と、吹き出し口1カ所が作動していました。
 湯口から源泉を常時投入、同量がオーバーフローしていきます。
 塩素臭はありません。
 湯づかいは、かけ流し+湯温均一化の循環かな。

     

     

     

     

     

     

  

【露天風呂 朧月夜】

 当初の設計パースでは、内湯だけでした。
 浴用許可済証が平成10年となっていて、当初は内湯だけで、露天風呂は後から設置されたと推測します。
 内湯は工夫が凝らされ味がありますが、後から設置の露天風呂は、ごくごく普通といった印象です。

 湯口からお湯が落ちておらず、湯中を探ると、左手奥の湯底方面から源泉が投入されています。
 湯口から対角線の縁からオーバーフローしています。

 吸い込み口がありましたが作動はしていません。
 露天風呂は、完全かけ流しです。

     

     

    

【貸切露天風呂「金精の湯」「子宝の湯」】

 宿泊者は無料ですが、日帰りでも+2000円で利用可です。

   

【大露天風呂 藤の花房】

 泊り客ではないような、ラフな格好の人が横のほうから来られました。
 雰囲気からしてもしや社長?と思い、一応、こんにちはと挨拶。恵比須顔で返事がきます。
 早々に浴室へ入っていくと、外まで聞こえる大きな声で、「熱い!」を連発。

 インタビュー記事に掲載されている写真を見ると、やはり社長でした。
 温泉達人コレクション→インタビュー記事
 
 平成16年11月源泉湯宿を守る会調査表によると、給湯量が本館30リットル、藤の花房が70リットル、
 給湯温度は、源泉地から離れている本館が52℃、源泉地に一番近い藤の花房が55℃。
 熱いだろうなと推測されます。

  


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