国民温泉保養地として、1979(昭和54)年3月に旧月夜野町の上牧・奈女沢温泉が、
ついで1999(平成11)年4月に旧新治村の湯宿・川古・法師温泉が指定されました。
従来の2か所の国民保養温泉地を併せ、さらに旧新治村の猿ヶ京温泉を新たに加えて、
あらためて「みなかみ町国民保養温泉地」として、2018(平成30)年5月に指定されました。
以下、「みなかみ町国民保養温泉地計画書(上牧・奈女沢・湯宿・川古・猿ヶ京・法師温泉)」
平成30年5月環境省の内容のあらましを、現地確認により修正してまとめてみます。
<湯原温泉> →レポ
水上温泉の中心、湯原温泉街は、古くからの温泉街です。
<上牧温泉> →レポ
上牧温泉は大正初期に発見された温泉で、上越線の水上延伸に伴い温泉旅館が開業され
湯治・保養客を集めました。
また、山下清が逗留したことで知られています。
利根川の両岸に5軒の旅館と日帰り入浴施設「風和の湯」、上牧温泉病院があります。
4本の源泉があり、5軒の旅館及び日帰り温泉施設、上牧温泉病院に利用されています。
主にナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉で、泉温は26〜45℃となっています。
・新湯2号泉 40.1℃ 466.0L 動力揚湯 旅館3・病院1
・大峯の湯 44.6℃ 236.0L 動力揚湯 旅館1
・常生館の湯 26.4℃ 7.8L 動力揚湯 旅館1
・ホロンの湯 45.3℃ 175.0L 動力揚湯 共同浴場・保養所
<奈女沢温泉> →レポ
一軒宿で古くから存在が知られており、明治期から湯治場として利用されてきました。
源泉はメタケイ酸含有で22℃の温泉です。
<湯宿温泉> →レポ
かつて「須川の湯」と呼ばれ、平安時代に遡る仁寿2(852)年に
須川村の僧侶弘須法師の開湯伝説が伝えられています。
湯宿温泉は6本の源泉があり、源泉を利用している2か所の共同浴場を除いて、
集中管理により4軒の旅館及び2か所の共同浴場で利用されています。
泉質は主にナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉で、
未使用の深代源泉を除いて自然湧出による42〜62℃の高温の源泉です。
・深代源泉 21.9℃ 2.8L 掘削自噴 未利用
・大滝源泉 42.0℃ 12.1L 自然湧出 旅館1
・小泉屋源泉 53.4℃ 15.1L 自然湧出
・小滝源泉 43.1℃ 4.0L 自然湧出
・窪湯 62.6℃ 178.0L 自然湧出 旅館4
・洗場 62.8℃ 17.4L 自然湧出
宿は「湯本館」「太陽館」「金田屋」「大滝屋旅館」の4軒です(みやま荘」は2016年5月6日閉館)。
集中管理の源泉を使用していない2カ所の共同浴場はどこかと考えてみると、
小滝の場が小滝源泉と窪湯源泉を使用、松の湯が窪湯源泉の直投入で集中管理を経由していないと
考えると合点がいきます。
<川古温泉> →レポ
赤谷川上流にあり、約250年前の発見と言われていますがが詳細は不明です。
ぬるめの温泉に長時間入浴することを特徴とし、
古くから「川古のみやげは一つ杖を捨て」と詠われてきた湯治場として知られています。
浜屋旅館と下流に広河原温泉旅館峰があります。
川古温泉には、3本の源泉がありますが、浜屋の湯のみを2軒の旅館が利用しています。
単純温泉及びカルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉で39℃の源泉です。
・広河原の湯 25.1℃ 124.0L 掘削自噴 未利用
・浜屋の湯 39.4℃ 715.0L 掘削自噴 旅館2
・川古の湯 29.4℃ 6.5L 自然湧出 未利用
<猿ヶ京温泉> →レポ
1956(昭和31)年に相俣ダムの完成で現在地に移りました。
それまでは赤谷川沿いに湯島の湯、生井林の湯(笹の湯)があり、今は湖底に沈んでいます。
湯島の湯は元禄年間(17世紀末)に発見されたと伝えられています。
猿ヶ京温泉には7本の源泉があります。
・村有2号泉 平成8年より測定不能 未利用
・湖城閣源泉 63.6℃ 195.0L 動力揚湯 旅館1
・共有泉湯島 57.2℃ 660.0L 動力揚湯 旅館2・給湯事業
・町有1号泉 61.5℃ 313.0L 動力揚湯 給湯事業74件・共同浴場
・三島源泉 昭和60年より測定不能 未利用
・猿ヶ京源泉1 号井戸 56.4℃ 420.0L 動力揚湯 町有1号泉と同じ
・猿ヶ京源泉2号井戸 49.4℃ 204.0L 動力揚湯 町有1号泉と同じ
<法師温泉> →レポ
江戸時代にその名前が確認され、三国街道を往来する旅人が利用してきたと推察されます。
明治時代には5軒ほどの温泉宿があったとされていますが、現在は法師温泉長寿館の1軒のみです。
法師温泉には源泉2本があります。
・大浴場旭の湯 41.2℃ 339.0L 自然湧出
・官行の湯 27.5℃ 204.0L 掘削自噴
法師川を挟んで建つ木造の建物は「国登録有形文化財」に指定されています。