Discover 栃木 温泉文化遺産(温泉文化史)
 
 奥日光開発株式会社の源泉と配湯


○奥日光開発株式会社

 奥日光開発株式会社の配湯は、源泉ノーリターンの魚骨方式です。
 伊香保の黄金の湯の魚骨と比べものにならないほどの大スケールです。
 奥日光開発株式会社サイト(サイト消失)と環境省資料、現地確認から、以下まとめます。

<源泉数8>
 奥日光開発1号〜7号、森林管理署の8本の源泉を使用しています。
 このうち、奥日光開発7号源泉と、森林管理署源泉は林野庁が所有しています。

<掘削自噴7、掘削動力揚湯1>
 掘削自噴(深長50〜87m)が1号〜6号と森林管理署源泉。
 7号源泉のみが掘削動力揚湯(深長402m、5.5馬力)です。
 なるほどね、7号源泉は、空気に触れる間もないので、白濁せずエメラルドグリーン、
 他とは違う泉質と感じた理由がはっきりしました。
 7号源泉のみガスセパレーターが設置されている理由もすっきりしました。

 (参考)7号源泉単独使用宿 もみの木通りの宿が使用しています。
    かつら荘、ミノヤ、白根荘、ゆの森、山の宿、森のホテル、温泉寺
    こちらで紹介しています

    

 (参考)7号源泉以外でも、鮮度が高いと透明度が増します。
     仕切りに切れ込みがあり、「あつ湯」から「ぬる湯」へ湯が流れて行きます。
    「あつ湯」と「ぬる湯」では、見てはっきりわかるぐらい湯の色が違います。
    「あつ湯」はモスグリーン、「ぬる湯」は青味を帯びた白濁です。
    7号源泉以外でも、家族風呂のように湯舟が小さいと透明です。

    

 (参考)奥日光開発の源泉ではありませんが、源泉名「響1、2号・共同源泉」
    こちらも透明度高いエメラルドグリーンで衝撃を受けました。

    
 

 (参考)奥日光開発の源泉も混ぜていますが、源泉名「湯乃家旅館No1、2号混合泉」
    硫黄で床は真っ白、真っ白なキャンバスを見るとなにかしたくなってきます。
    絵心はないので硫黄の上を歩いて足跡をつけてみた。

   


<泉温と湧出量>

 泉温は、53.8度〜79.8度。1番泉温が高いのは2号の79.8度。
 湧出量は、8.4L〜319.4L。1番湧出量が多いには2号の319.4L。
 なるほどね、以前は中禅寺湖への配湯は1号・2号の混合泉でした。
 1番泉温が高く湧出量が多い2号が主体だったわけです。
 

<湯導管ラインと配湯>

 本線 12Km
    湯元泉源→湯滝中継槽→赤沼中継槽→地獄沢中継槽→中禅寺中継槽→リッツカールトン日光(終端)
 支線  7Km
    湯滝中継槽→光徳牧場配湯槽 赤沼中継槽→菖蒲ケ浜配湯槽
 中禅寺湖畔まで約12km、標高差200mを動力は使わず自然流下で、60軒の宿泊施設、保養所へ配湯。
 

<供給パターン>

 【7号源泉】 →湯元地区
 【3、4、7号、森林管理署混合泉】 →湯元地区
 【1、2、3、4、5、6、7号、森林管理署混合泉】 →湯元地区
 【1、2、3、4、7号、森林管理署混合泉】 →光徳、菖蒲ヶ浜、中禅寺地区

 ※供給パターンの変更
  2007(平成19)年9月6日〜7日の台風9号により、源泉北側斜面が崩落し、
  温泉供給施設が土砂に押し流され温泉供給が停止する災害が発生しました。

  源泉設備破壊により、奥日光と中禅寺湖の源泉使用が変わりました。
  中禅寺温泉は1・2号→1・2号、3・4号、7号、森林管理署混合源泉。
  湯元の5・6号→1〜7号、森林管理署混合源泉(全部使用!)
  湯元の3・4号→3、4、7号、森林管理署混合源泉
  湯元の7号・森林管理署源泉→7号のみ
  湯元の7号→7号(以前と同じ)
  7号を全部に混ぜるようになりました。

  5・6号を使っていた宿は、全部使用で、
  また、5・6号を使用していなかった宿は新たに5・6号の混合はないので、
  5・6号が最も打撃を受けたことが推察されます。
  7号と森林管理所源泉はすべてのパターンの混合泉に配湯しているので、
  最も打撃を受けていないものと推察されます(7号のみ自噴ではなく動力ですから)。
  1・2号と3・4号も少々打撃を受けたものと推察されます。
  森林管理署源泉を新たに混ぜるようになったので、
  観光開発自体が大きな影響を受けたと推察されます。

  復旧作業中の源泉地帯 全面復旧に2ヶ月半要しました。右復旧後
   


【現地確認】

 作業員は、日常点検ではガス測定器、ガスマスクを着用、
 熊対策として熊鈴・熊撃退スプレーを携帯しています。
 泉源付近は観光客や修学旅行生の見学場所となるため、注意看板が設置されています。
 中継槽は山奥の場所もあり、山奥以外のポイントを確認しました。
 

<第1ポンプ場>

   
 

<第2ポンプ室>

   
 

<第3ポンプ場>

 貯湯タンクも見えます。
 源泉管理場所での事故防止のため、柵、注意看板の設置が進められました。

   
 

<第7号源泉ポンプ室>

 7号源泉が好きで、ようやく7号源泉湧出地を確認しました(温泉寺の裏)。
 ガスセパレーター室の設置許可証が掲示されていました(7号源泉のみ設置)。

     
 

<森林管理署源泉> 湧出地:日光市奥日光国有林1068又林小班内

 7号源泉ポンプ室の近くに、源泉施設があります。
 はるにれの湯の敷地は森林管理所から借りていた土地で、そこに森林管理署源泉がありました。
 これが森林管理所源泉と思います。
 この源泉は、はるにれの湯で単独使用(はるにれ廃業・更地)。
 奥日光森のホテルが奥日光7号と混合で使用(現在は奥日光開発の7号のみ使用)
 かつては温泉寺も使用(現在は奥日光開発の7号使用)。
 現在は奥日光開発が利用しています。  

  

 はるにれの湯→更地 営林署源泉を単独使用していました。
      
 

<第1配湯槽>

  
 

<温泉供給場>

    
 

<湯滝中継槽>

 湯の湖から湯滝となって流れ落ちるポイントで観瀑していたら、硫黄臭がします。
 「奥日光開発株式会社湯滝中継槽」がありました。
 湯滝が流れ落ちる湯ノ湖湖尻にあります。
 湯ノ湖湖尻より連山が望めるナイスビュースポットでもあります。

     
 

<菖蒲ケ浜配湯槽>

 マンホールから源泉が流れ出しています。

   


○各源泉使用施設

 ・7号源泉
 ・3、4、7号森林管理署混合泉 
 ・1〜7号森林管理署混合泉 
 ・1、2、3、4、7号森林管理署混合泉


○その他魚骨式

 源泉名「湯西川温泉集中管理」
   → 有限会社湯西川温泉集中管理

 源泉名「鬼怒川・川治温泉観光開発1・2号及び小原沢市有源泉混合泉」
   → 鬼怒川・川治温泉観光開発株式会社

 源泉名「鹿の湯・行人の湯混合泉」
   → 那須温泉株式会社(地元旅館等出資。鹿の湯を運営)

 その他色々。


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